“雇用慣行に留意した日本型の仕組みを目指す必要”が強調点 ダイジェスト一覧

特集経団連の「同一労働同一賃金の実現に向けて」を読む

“雇用慣行に留意した日本型の仕組みを目指す必要”が強調点

 日本経済団体連合会(榊原定征会長)は7月19日、「同一労働同一賃金の実現に向けて」と題する報告書を公表した。同報告書は、政府が6月2日に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」において、非正規従業員の処遇の改善を目指し、欧州の制度も参考にしながら「同一労働同一賃金」を実現する方針を示したことを受けて、経団連の基本的考え方をまとめ、これからの議論に備えたもの。特集では、この経団連の報告書の「読み解き方」について、賃金制度に詳しいMMC 総研代表の小柳勝二郎氏に解説いただく。小柳氏は、報告書において「同一労働同一賃金の実現にあたっては、一億プランにあるように、わが国の雇用慣行に十分留意した日本型の仕組みを目指していく必要がある」としていることについて、「この数行が同一労働同一賃金について経団連が最も強調したい点」だと指摘。また、経団連が示す「日本型同一労働同一賃金」の形として「『職務内容や、仕事・役割・貢献度の発揮期待(人材活用の仕方)など、さまざまな要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に、同じ賃金を払うこと』を基本的考え方とする」とする点について、現行制度の実態を前提に考えれば「大筋理解できる」とする一方で、「基準となる正規従業員の職務内容と非正規従業員の職務内容が明確でないと比較にならず、混乱が起きるのではないか」という疑問点も提示している。

(MMC総研代表 小柳 勝二郎)

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